建設業が元気にならなければ日本が元気にならない。何故なら日本経済の1割が建設関連なのだからという時代があった。「建設業が元気になる」何もコンクリート形の公共工事を出せという意味ではない。建設業がやれること、いや建設業だから出来ることはいっぱいある。
今さかんに言われている日本の森林を守る事業、海浜や山をきれいにする事業、廃棄物処理や不法投棄処理の事業、土壌汚染の処理事業、河川や湖沼の汚染処理の事業それに水害や地震、津波等自然災害を未然に防止する対策の事業。まだあるバブルのころさんざん痛めつけた国土の復旧や町のあちこちで見られるバブル倒産による立ち枯れ構造物の始末。
更にいま日本の食料自給事情はか細い状況である。何かあったらどうなるのかは誰にも分からない。食料自給率を高めるためにも建設業がやれることはないのだろうか。もっと大きな事業ではこれだけ叫ばれている環境問題、中でも温暖化や生態系破壊を回復する事業にも建設業が参加できないか、特に環境破壊に手を貸してきたと言われる悪役イメージを、社会に貢献する善良イメージに転換する手だてはないものか。
ここまでくると日本の建設業は最早「建設業」という名前、呼び方を変えることから始めなければならない。
先に掲げたいろいろな事業は勿論公共性のもので国の予算で、国や自治体の先導で始められなければならないが、アイデアは建設業つまり民から出るものでなければならない。「私達はこんなことを、この価格でやりますからお金を出してください」というのでなければ対象は違っても形態はまたぞろ「箱ものコンクリート公共工事」と同じになってしまう。
建設業は既に新規構築から修繕維持の時代に入った。国や地方の予算比率も徐々にこの方向に転じて行かざるを得ない。公共もの民間ものを問わず、既に営繕事業に軸足を移している企業もある。
さて建設業の大転換に際して総論ばかり言っていても始まらない。かく言う私にもこれについての各論が具体的にすんなり出てくるほど世の中は甘くない。それに各論まで与えられたのでは面白くないはずである。ここは一番、社の総力を結集しまさに新しい会社を作るくらいの気持ちで取り組む必要がある。
各論へ入っていくためのヒントとなる事項を強いて挙げると次のようなことになる。
1 建設業の概念を離れて客観的に見てみる。
2 これらの何に興味があるか、これ以外に何かあるか考えてみる。
3 これらの事業が現在どのように行われているか調査する。
4 社内で専従のチームを作り研究していく。
というごくありふれたヒントとなるが、今度こそ真剣に取り組んだ企業が生き残る確率は高い。
[ 平成9年6月の作成 ]